D2 – 3. 生産者の種類

Route to Market、1本のワインが消費者に届くまでのスタートは生産者です。その生産者には、どのようなビジネス形態があるかを整理する。

1. Estates

Estatesは、自社のブドウ畑(リースを含む)で栽培したブドウからワインを生産する。

メリット・各段階で、確実に品質管理を行うことができる
・ワイン生産から得られる利益を独占することができる
・「ワインのストーリー」が伝えやすい(「本物」を求める消費者への訴求力が強い)
デメリット・資金とコストが高額になる
・天候不順による生産量への影響が大きく、利益が減少するリスクがある(大規模なEstatesはリスクとコストを分散することができるため有利)
Estateのメリット・デメリット

2. Growers

Growersはブドウ栽培のみを行う。

メリット・ブドウ栽培に専念することができる(ワインの醸造・販売、マーケティングが必要ない)
・キャッシュインが早く、キャッシュフローの面で有利
デメリット・ヴィンテージの変化や需要と供給の変動によって、ブドウの売価が下落し利益が減少するリスク
Growersのメリット・デメリット

また、ブドウの販売には2つの方法がある。

ブドウの販売方法メリットデメリット
特定の生産者・商人と契約・経営上も、精神的にも安心感が得られる・品質基準を満たせない場合に、利益が減少するリスクがある
スポット市場で販売・ブドウ不足の場合に、高値で販売できる・契約価格より安価になる可能性がある
ブドウの販売方法

3. Grower-Producer

メリット
デメリット
Estateのメリット・デメリット

4. Merchants:商人

Merchantsは、主にワインを購入して、自分たちの名前で販売を行う。ただし、地域によってワイン造りへの関わり方が異なり、ブドウ栽培やワイン醸造への技術サポートを行うMerchantsも一般的に存在する。

メリット・畑の購入と管理が必要ないため、少ない資本でも運営ができる(そのため、土地が高価なエリアで特に有効)
・ブドウが不作の年でも、柔軟に買い付けを行うことができる
デメリット・買い付けるワインの品質をほとんどコントロールできない
→ Merchantsが生産者と協力関係を築くことで、ある程度は解消が可能
・購入するワインが高額になる可能性がある
Merchantsのメリット・デメリット

En Primeur(プリムール)

En Primeurは瓶詰め前のワインを販売する方法のこと。第二次世界大戦後のボルドーで、シャトーが経済的に苦しい状況にあった中で発展したシステム。

Merchantsは瓶詰めされる前のワインを樽で購入し、ワインは瓶詰めの準備が整うまで生産者によって保管される。

商人は卸売業者としての役割が大きく、シャトーのストックの一部を購入し、さまざまな流通業者や小売業者に販売する。

En Primeurでしか手に入らないワインが対象になることが多く、投資家に重宝されるワインが多い。

5. Grower-Merchants:生産者&商人

Grower-Merchantsには、EstatesとMerchantsの2つの面がある。つまり、自社で所有しているブドウ畑からワインを醸造する一方で、ワインを購入して販売も行う。

あらゆる価格帯のワインを扱い、プレミアムワインは自社畑から生産し、安価・中価格帯のワインは購入したワインを使用することが多い。

6. Co-Operatives:協同組合

Co-Operativesは、生産者グループによって構成される組合で、組合員が栽培したブドウからワインを生産・販売する。

メリット・共同出資することで、高価な設備機器を購入することができる
・マーケティング、パッケージング、販売を委託することができる(特にメーケティングは個別に行うよりも効率的・効果的)
・エントリーレベルのワインは協同組合で生産し、高価格帯のワインは自社ブランドで生産するといった使い分けが可能
・大規模な組合は、規模の経済を回すことができる
デメリット・協同組合は民主的管理であるケースが多く、意思決定のプロセスが遅く、煩雑になる
・協同組合と生産者の行動方針が合わない可能性がある
Co-Operativesのメリット・デメリット

7. Custom Crush FacilitiesとVirtual Winemakers/Wineries

Custom Crush Facilitiesは協同組合モデルの一種で、主にカリフォルニアで見られる。生産者の要望を受けて、ワインの醸造を行う受託企業で、安価な大量生産ワインからスーパープレミアムの少量生産までを製造する。

Virtual Winemakers/WineriesはCustom Crush Facilitiesや、他のワイナリーの設備を使ってワイン生産を行う生産者である。

メリット・設備投資が必要ない
・協同組合のデメリットである、意思決定の合意形成が必要ない
・プロのワインメーカーの専門知識・技術を活用することができる
デメリット・生産者が望むスタイルがワインメーカーに明確に伝わらず、目指しているワインにならないリスクがある
Custom Crush Facilitiesのメリット・デメリット

8. Conglomerates:複合企業

Conglomeratesは、ワインだけでなく様々なアルコール製品を扱う複合企業であり、ワイン業界以外の大手企業が参入する傾向が強まっている。

生産から流通・販売まで、サプライチェーンの様々な段階の多くの中小企業を所有することで中間マージンを減らしている。

Conglomeratesは大きな規模と影響力を保持しているため、ブドウやワインの購入、小売店への販売を行う際に強い交渉力を持つことができる。

複合企業の例

  • 大企業:E&J Gallo(アメリカ・カリフォルニア)
    2018年にはCAワインの生産量の40%を担っており、2020年にはアメリカのワイン市場の約22%数量を占めている
  • 中企業:Michele Chiarlo(イアリア・ピエモンテ)
  • 小企業:Felton Road(NZ・Central Otago)

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